日本酒のシェアが5%を切る危機

  • 2013.09.08 Sunday
  • 18:16



国税庁が毎年発表している「酒類販売(消費)数量等の状況表」によると、日本酒の全酒類に占める製造数量の占有率(シェア)は、平成12年の10.3%を最後に一桁台に転落、その後、年々占有率は下がる一方で、平成16年には8%台に落ち、平成18年に7%に落ちてからは、減少率が鈍化し、平成23年には東日本大震災の特需の影響で日本酒の製造量が僅かに前年を上回り、占有率も前年を上回っているが、その後も、占有率は下がっていると推定される。

全酒類とは、日本酒、焼酎、ビール、ワイン、ウイスキーなどアルコール度数1%以上の全ての酒を意味し、平成23年では、合計が8,214,243KLで、そのうち日本酒は、603,671KLを占めている。国税庁が発表している最新状況表は、平成23年迄だが、平成25年は、占有率7%前後に落ち込んでいると推定される。




近年は毎年0.2%程度占有率が落ち込んでいることから、日本酒の占有率がこのままの減少傾向で推移すると、上のクラフのような右肩下がりとなり、11年後の平成36年にはシェア5%を割り込んでいる可能性が高い。
消費業界には、占有率が5%を割った商品は一般国民の記憶の中から忘れ去られるという説があることを考えれば、11年後には、国民の意識の中から日本酒が消えつつあるのかも知れない。
更に、50年後、100年後は、どれくらいの占有率になっているのか想像できないが、日本酒本来の旨味を備えた正統派の日本酒は、確実に生き残っているはずであり、そう信じたい。

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    酒造好適米「山田錦」は、なぜ足りないのか?

    • 2013.08.30 Friday
    • 17:05



    人口減と食生活の変化により、米は余っていると認識している人が多いと思われるが、昨今の酒造業界においては、原料米の山田錦が足りず、酒造メーカーは造りたくても造れない状況に陥っている。山田錦が足りない理由は、政府の農業政策のもと、主食用米の価格維持を図るための「生産数量目標」の中に、酒造好適米が含まれており、その生産量が制限されているからである。

    長年、政府が示す「生産数量目標」より多く作ってはいけないという減反政策による需給調整が行われており、「生産数量目標」より多く作っても保証金が支給されないので農家は作らないからである。よって、純米酒系の日本酒の生産量が増え、海外輸出数量が急伸して山田錦の需要が多くなっても、供給が追いつかないという状況が起きている。しかし、よく考えて見れば、酒造りにしか使用できない酒造好適米が、なぜ主食用米と同じ扱いで「生産数量目標」に含まれているのか?という疑問が湧いてくる。この疑問について、所轄官庁である農水省は、「生産数量目標は、主食用米と酒造好適米の合計で決められているので、主食用米と酒造好適米を別扱いにすれば、生産数量目標は、その分だけ少なくなり、酒造好適米を生産していない農家には不公平になる」と説明しているが、消費者に対しては説得力が弱く、言い訳にしか聞こえない。

    つまり、酒造好適米を「生産数量目標」から外すと、 崚堝刺楔別の需要量に関する情報から酒造好適米の数量分を除外することになり、農家ごとの生産数量目標も減少する」◆峽弍捗蠧整堕蠡从の対象から外れる(保証金が貰えなくなる)」「酒造好適米のみを生産する農家には、生産調整数量の割当がない」という三つのデメリットが想定される。逆に、メリットとして、 崋鯊ね冓討箸靴董⊆鯊すヅ米と加工用米が一本化され、制度的に分かりやすくなる」◆崋村との契約が増加した場合、生産拡大が容易になる」という二つが考えられる。

    但し、こうしたメリットやデメリットは、主食用米と酒造好適米が同じ「生産数量目標」の内数であることを前提とした理由である。農水省の説明によれば、そうした前提になったのは「農家側が望んだから」だという。2004年、減反面積の配分から生産数量目標の配分へと制度変更が行われた際に、「主食用米に酒造好適米が合わされば、コメの生産数量目標の全体量が増えることから、その枠内で需要に合せて主食用米と酒造好適米の生産配分を決めた方がメリットありとして、農家側が酒造好適米を内数にすることを選んだのだという。結果的に「主食用米と酒造好適米が同じ扱い」になったのは、10年前の農家側の判断だった訳だが、今年度の生産数量821万トンのうち、酒造好適米は約7万トンで、全体の1%にも満たない数量である。両者を合算すればメリットがあると判断したのは、保証金問題が絡む農家の利益を優先させたものと考えられるが、両者が同じ扱いを受けるのは、どう考えてもおかしい。

    見方を変えれば、酒造好適米は、主食用米の「価格維持政策」の矛盾に巻き込まれた被害者と言える。ところが、ここにきて、農水省は、酒造好適米の需要増大を背景に、酒造好適米を「生産数量目標」から外すことを検討すると発表している。今後の酒造好適米の増産に向けて一歩前進したことは酒造業界にとっては、明るいニュースであり、来年には、酒造好適米不足は解消されると思われる。

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      消費者を惑わせる脱法清酒の存在

      • 2013.08.24 Saturday
      • 17:04

      日本の法律では、アルコール分1%以上の酒類は、酒税法で規制され、日本酒は「清酒の製法品質表示基準」という法律で、内容表示が細かく決められている。一般的に、日本酒は、「特定名称酒」と「特定名称以外の酒」に分類されるが、その製造数量比率の推計は、「特定名称酒」約35%、「特定名称以外の酒」約65%である。一方、見方を変えて、変則的に日本酒を大別すると、「順法清酒」(順法特定名称酒)と「脱法清酒」(脱法特定名称酒)に分類出来る。



      順法とは、「法の指示するところを尊重し、決まりを守って行動すること」、脱法とは、「法律に触れないような方法により法律で禁止していることを行うこと。うまく法の裏をかくこと」と辞書に書かれている。つまり、「脱法清酒」とは、法律に触れないような方法で、酒税法違反に近いことを行っている酒のことで、酒税法の盲点を突いた酒を指している。近年、こうした「脱法清酒」が市場に増えつつあるのが実態で、その製造数量比率は、「順法清酒」98%、「脱法清酒」2%程度と推定される。最近、各種メディアで、脱法ハウスの存在がニュースとして報道されているが、日本酒の世界でも、そうした脱法商品が少なからず存在していることを明らかにしておきたい。

      「脱法清酒」という言葉は、これまで日本酒業界では使われたことが無かったが、どこが脱法なのかを具体的に説明する。
      酒税法では、日本酒のラベルに表示する内容が義務と任意を含めて10項目決められている。表示義務があるのは、〔段繊↓⊆鯲爐諒類、アルコール分、じ矯猯遡勝↓テ睛椴漫↓製造年月、Ю渋ぜ毀承擇喟渋ぞ貊蠅裡傾猝椶如表示義務が無く任意なのは、特定名称、精米歩合、飲酒防止事項の3項目である。

      このうち、酒税法が規定する特定名称については、「当該清酒が特定名称の要件に該当するものであるときは、当該清酒の容器又は包装に表示出来るものとするが、義務づけるものではない」と決められ、更に、「特定名称を表示する清酒については、原材料名の表示の近接する場所に精米歩合を併せて表示すること」と決められている。これは、「特定名称を表示しない清酒は、精米歩合も表示しなくてよい」という解釈になる。

      脱法清酒ラベル画像.jpg

      わかりにくいのは、そうした非表示を認める酒税法の例外規定である。現在、特定名称も精米歩合もラベルに表示していない酒が全国で推定20蔵前後から発売されているが、こうした酒は、酒税法の例外規定に準じて特定名称表示を放棄することを国税当局に申告した酒である。ところが、そうした酒のほとんどは、自社のホームページやパンフレット等に特定名称や精米歩合を表示したり、酒販店に売り込む際に、口頭で特定名称に該当する酒だと説明している。つまり、実質的にラベルに特定名称を表示した場合と同じことを公然と行っているのである。これは、明らかにラベル表示規定の表と裏を使い分けた脱法行為である。酒税法の規定を盾に、ラベルに特定名称を表示しないのなら、それ以外の方法で、特定名称を喧伝するのは合法的とは言えない。そうした酒は、酒税法の精神を逸脱した脱法清酒と言わざるを得ない。

      消費者目線で考えれば、「そこまでするのなら、きちんとラベルに特定名称も精米歩合も表示すべき」となるが、製造者側は、何故、それを表示しないのか?それには、次の五つの理由が考えられる。ー鬚蓮頭で飲むものではないという考え。⊆鬚蓮⊃字で飲むものではないという考え。I充┐靴燭ない何等かの理由がある。ど充┐靴覆い海箸砲茲辰謄瓮螢奪箸ある。ド充┐靴覆い海箸美徳であるという考え。などである。いずれも、製造者側に都合の良い身勝手な理由で、消費者の知る権利を無視している。酒のラベルに特定名称が表示されていないのに、中身は特定名称酒だと言われても、そのまま受け入れる訳にはいかない。消費者にとっては、ラベルに表示してあることが、唯一、信用出来る証拠だからである。
      国税当局は、こうした消費者にわかりにくい例外規定を廃止して、全ての特定名称酒のラベルに、特定名称も精米歩合も表示することを義務づけるべきである。こうした「脱法清酒」の存在は、日本酒の健全なる発展を阻害している。消費者は、コンプライアンスの観点からも、ラベルに、特定名称も精米歩合も表示していない酒は、選択肢から外すべきである。
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        原酒に加水しても「原酒」と認める酒税法の悪しき例外規定

        • 2013.06.16 Sunday
        • 09:31


        日本酒の世界で、一般的には「原酒」とは、「醪を搾ったあと一切加水していないもの」と認識している人がほとんどだと思われるが、現行の酒税法では、「少量の加水をしても原酒と表示してもよい」と認められている。酒税法に、「清酒の製法品質表示基準」が制定されたのは25年前の平成元年11月で、平成2年4月から適用されているが、その「任意記載事項の表示」の(4)に、「原酒」の定義について、「原酒の用語は、製成後、加水調整(アルコール分1%未満の範囲内の加水調整を除く。)をしない清酒である場合に表示できるものとする」と記されているからである。その後、平成15年10月に「清酒の製法品質表示基準」の一部が改正され、平成16年1月から適用されているが、「任意記載事項の表示」の(4)に明記されている原酒の定義は、「製成後、水を加えてアルコール分などを調整しない清酒に表示できます。なお、仕込みごとに若干異なるアルコール分を調整するため、アルコール分1%未満の範囲内で加水調整することは、差し支えないことになっています。」と微妙に表現が変わっているが、アルコール分1%未満の範囲内で加水調整することを認めていることに変わりはない。したがって、例えば、醪を搾った後のアルコール分17.0度の原酒に加水して16.1度まで下げても、また、搾った後にアルコール分16.5度の原酒に加水して15.6度まで下げても、その酒は「原酒」と表示できるのである。日本酒の世界において、アルコール分が僅か1%未満の範囲内で違っても、その味わいは大きく変わることが明白であり、法律でそうした例外規定を認めるのは理不尽であり、消費者を欺く「うそ表示」である。「純米酒に少量の醸造アルコールを添加しても純米酒と認めない」のに、「原酒に少量加水しても原酒と認める」というのは、理不尽且つ身勝手な法律である。かつて、国税庁に問い合せたところ、「毎年、酒蔵から出荷する商品のアルコール度数を均一化するため」という説明を受けたが、そのために加水したものを原酒と認める必要がどこにあるのか。考えられるのは、かつてのアルコール分の違いによる酒税額の違いを調整する名残りと思われる。多くの酒蔵は、加水したものを原酒と表示していないと思われるが、こうした例外規定がある以上、疑われても仕方がない。実際には、「加水した原酒」と「加水していない原酒」の2種類が市場に流通しているのは紛れもない事実であり、市場に流通しているアルコール分16度台の原酒は、加水されている可能性が高い。最近は、奈良県の「風の森」や愛知県の「醸し人九平次」などのように、「原酒」という表示ではなく「無加水」という表示をする酒蔵が増えてきているが、消費者にとっては、この表現の方がわかりやすく信頼感がある。「無加水イコール原酒」は正解だが、「原酒イコール無加水」ではない。「無加水」の定義は、あくまで無加水であり、加水したものを「無加水」とは言わない。酒税法で、「加水しても原酒」と認めるのであれば、消費者にわかりやすいという観点から、加水した原酒は「原酒」と表示し、加水していない原酒は「無加水」と表示した方が良心的である。それよりも、こうした例外規定は一刻も早く廃止すべきである。(画像と本文は関係ありません)
         
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          精米と精白の高低の意味を間違えているのはどちらか

          • 2013.06.09 Sunday
          • 18:25




          2011年12月にこのブログに書いた「多くの人が精白の高低の意味を間違えている」(後に、「わかりにくい精米と精白の高低の関係」に改題及び改訂)の内容に関して、ある匿名のブロガーが自身のブログに「中野社長こそ、精白の高低の意味を間違えている」と名指しで中傷に近い内容の反論記事を書いている。
          http://fanalone.way-nifty.com/blog/2011/12/post-79e5.html

          身分を明かしたブロガーなら相手にするが、匿名のブロガーが書いた反論記事は相手にせず、これまで無視してきたが、いまだにネット上に掲載され続けているのは、誤解を招く恐れがあり、我が名誉にも関わるので、ここに「間違いを指摘してきた方が明らかに間違っている」ことを理論的に明確にしておきたい。匿名ブロガー氏が間違えている根拠は、ブログの反論文に書いている以下の部分である。
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          「高精米=たくさん米を磨く=値が大きくなる」、「低精米=あまり米を磨かない=値が小さくなる」ように、精米歩合の計算式を定義すればよかったのです。そうすれば、精米歩合の大きい・小さいがそのまま「精米」あるいは「精白」の高い・低いになり、言語感覚の逆転が生じなくて済みました。
          ----------------------------------------------------------------------------------------------------
          これが全ての間違いのもとである。正しくは、「高精米=たくさん米を磨く=値が小さくなる」、「低精米=あまり米を磨かない=値が大きくなる」で、匿名ブロガー氏は、「高い」=「大きい」、「低い」=「小さい」と勘違いして間違えているのである。高い低いは数字のことを意味しているのではなく、「高」は、高度な又は高級なという意味で使用され、「低」は、程度の低い又は低級なという意味であり、「大」は、数字が大きいことを意味し、「小」は、数字の小さいことを意味している。正しくは、「高い」=「小さい」、「低い」=「大きい」である。その証拠に、「高精米」=精米歩合の数字が小さい=低精米歩合であり、「低精米」=精米歩合の数字が大きい=高精米歩合である。更に、「精白歩合」はその逆で、「高精白」=精白歩合の数字が小さい=低精白歩合であり、「低精白」=精白歩合の数字が大きい=高精白歩合である。したがって両者の関係は、「高精米」=精米歩合の数字が小さい=低精米歩合=精白歩合の数字が大きい=高精白歩合=「低精白」であり、「低精米」=精米歩合の数字が大きい=高精米歩合=精白歩合の数字が小さい=低白歩合=「高精白」である。以上の関係から、匿名ブロガー氏が主張する「高精白」=「高精米」は、完全なる間違いである。匿名ブロガー氏が混乱して間違えている証拠を、「中野社長の文章を正しく修正します」として書いている5項目の一部を引用して列挙する。

          ,鉢△蓮間違いが無いので割愛する。
          精白歩合は、「精白歩合(%)= 100(%)− 精米歩合(%)」という計算式で求められる。よって、高精米歩合と低精白歩合は同じ意味であり、低精米歩合と高精白歩合も同じ意味になる。
          【中野】この説明は正しい。ブロガー氏は、「高精米歩合」=「低精白歩合」、「低精米歩合」=「高精白歩合」を認めている。
          い弔泙蝓⊂鐚嬰な日本語における 「精米および精白の高低」 は、精米歩合の数値の高低と逆になっているが、精白歩合の数値の高低とは一緒である。
          【中野】この説明は完全に矛盾している。“常識的な日本語”という曖昧な言葉を持ち出してきて矛盾点をごまかそうとしている。前ので「高精米歩合」=「低精白歩合」、「低精米歩合」=「高精白歩合」を認めておきながら、「精白歩合の数値の高低とは一緒である」と全く理論的に矛盾することを主張している。一緒であるという理論的な根拠はなく、持論を述べただけである。一緒ではないことは、上の図を見れば一目瞭然である。
          イ茲辰董∪妻栃盥脾牽亜鵑農最鯤盥脾横亜鵑亮鬚蓮⊂鐚嬰な日本語においては「精米が低い、精白が低い、低精米、低精白」である。
          【中野】これも、完全な間違いである。これは「よって、精米歩合80%で精白歩合20%の酒は、理論的な日本語においては「精米が低い、精白が高い、低精米、高精白」であり、「精米歩合20%で精白歩合80%の酒は、理論的な日本語においては「精米が高い、精白が低い、高精米、低精白」である。決して、匿名ブロガー氏が主張するような、「高精米」=「高精白」ではない。常識的な日本語と理論的な日本語は全く違うものである。

          なお、昭和34年のメートル法施行に伴い酒造用語の整備が行われ、酒造業界においては、米を磨く度合いについては「精米歩合」で表わすことに決められており、「精白」という言葉は死語に近くなっているので、使わない方がベターである。最近の出版物にも「高精白」が間違えて使われているので、特に、雑誌等の編集者やライターの方にお願いしたい。

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            全国新酒鑑評会「公開きき酒会」の問題点

            • 2012.06.16 Saturday
            • 16:23




            昨日(6月15日)、東京・池袋で開催された「公開きき酒会」出品酒の印象が広島とは違い過ぎる。
            広島での「製造技術研究会」から東京での「公開きき酒会」まで、1ケ月弱の日数経過が酒質を変化させていることもあるが、広島の出品酒と東京の出品酒は、斗瓶違いが多いからだと思われる。中には、タンク違いを出品しているケースもある。つまり、厳密に言えば、全部とは言わないが、広島と東京では、酒が違うのである。どうしてなのか?それは、広島での審査結果が発表されてから、東京へ「公開きき酒会」用の出品酒を送るからである。7年前まで、広島で「製造技術研究会」と「公開きき酒会」が同日に開催されていた時は、両方の出品酒を一括送付していたので、こうした問題は起きなかった。「公開きき酒会」を東京で開催するようになってからも、出品酒を2回に分けることなく、両方を審査前に一括送付すれば、こうした問題は起きないが、主催者側は、保管や管理の面で難しいという。しかし、審査に使用した酒と違うものが出品される「公開きき酒会」は、開催する意味が無く、極論すれば、そこに“偽り”がある。このようなことを続けていては、「國酒」としての誇りはない。

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              今年の全国新酒鑑評会

              • 2012.05.26 Saturday
              • 14:29



              2012年5月22日(火)午後10時発の夜行寝台列車「サンライズ号」に乗り、日帰りに近い強行スケジュールで通算100回開催記念の平成23酒造年度「全国新酒鑑評会」に行って来た。この時期の広島詣では、17年連続である。初めて寝台列車に乗ってみたが、なかなか快適な旅が出来た。「サンライズ号」の個室は何種類かあるが、今回、利用したのは「シングルツイン」という、二段ベットになっている個室で二人使用も出来るが、贅沢にも、一人で使用した。列車は、東京駅を出たあと、翌朝6時40分頃に岡山駅に到着、そこから新幹線に乗り換えると、8時前に東広島駅に到着する。無駄の無いドンピシャな時間に着く、利用価値ある「サンライズ号」であった。


              そこからタクシーに乗ると、8時過ぎには、会場の東広島運動公園体育館に到着する。五月晴れの5月23日(水)朝、例年のように会場入口前には列が出来ているが、今年はいつもの年より多くの人が並んでいた。この日開催される「製造技術研究会」は、10時から開催されるが、しばらく、列の光景や会場の外周りを撮影した後、8時半過ぎにマスコミ受付で記帳をして、会場の体育館内に入ると、地区別に分けたテーブルに今年の出品酒876点が並べられている。今年は、その中から半分弱の428点が入賞酒として選ばれ、更に、その中から247点が金賞酒として選ばれている。今年の最大の注目点は、京都の齋藤酒造株式会社が出品した「英勲」が15年連続金賞受賞の日本新記録達成成るか否かだったが、惜しくも、金賞を逃し入賞止まりに終り、日本新記録更新は成らなかった。14年連続金賞受賞を続けたのに、100回記念の全国新酒鑑評会で記録が途切れるとは皮肉なもので、なんとも非常な世界である。今年の金賞受賞の傾向は、例年よりグルコース値高めの甘く感じるものが多く、香りは例年より低めのものが多かったようである。247点もある金賞酒の出来栄えには、上位のものと推定される金賞酒と下位と推定される金賞賞とでは、かなりの差を感じたが、例年通り、味わいの濃淡が極端ではなく、五味のバランスがとれ、旨みがあるものが選ばれていた。金賞を外した出品酒は、甘過ぎたり、薄過ぎたりするものが多く、膨らみとバランスに欠けたものが多かった。主催者の発表では、吟醸香の元となる、カブロン酸エチル香気の全出品酒の平均値は、6.7PPMで、一昨年をピークに減少傾向にあるが、中には、強烈な吟醸香を漂わせたものもあり、協会1801酵母等の高香気精製酵母の使用率はますます上昇しているように感じられた。但し、全体的に、造りの段階で、香りが穏やかになるよう工夫されたものが多く、出品酒製造技術は確実に進歩していると思われる。味わい的には、今年も、高香気精製酵母使用による前駆物質「カプロン酸」含有の影響により、苦みを感じるものが多く、おいしさという点では、疑問符がつくものが目立っていたように感じた。以前から指摘されているが、出品酒は金賞を取ることを目的に造られ、吐いて審査する際の人間の官能に最大限アピールするよう造られているので、飲んで旨いかどうかは問われない酒であることから、消費者ニーズに合わない酒になっている。出品酒造りは、質の良い吟醸香の創出と欠点の無い日本酒造りの競争という側面を持っており、その為には、日本酒の最大の特性である「おいしさ」を犠牲にすることも有り得るのである。従って、「おいしさ」に関しては、高品質な出品酒に及ばないこともあり、このあたりが鑑評会の課題でもあり問題点でもある。今のようなコンテストの為にコストを無視して特別に造った出品酒を審査するのではなく、コスト計算した通常の造り方をした市販酒を審査するように改める必要がある。しかし、「賞」欲しさの不正が横行する可能性が高く、実現は難しいと思うが、発覚した場合の罰則を強化すれば不可能ではない。次代が求めているのは、「全国新酒鑑評会」ではなく「全国市販酒鑑評会」である。

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                酒の負の面と向き合う

                • 2012.04.19 Thursday
                • 08:26



                先日、東京開催25回目の「純米酒フェスティバル2012春」を渋谷で開催した。好天に恵まれ、「昼の部」、「午後の部」とも600名の参加者を数え、イベントは大成功に終わったが、主催者にとって、1,000名を超える参加者が集う日本酒イベントには、酒の負の面と正面から向き合わなければならない問題点がある。それは、泥酔者対策である。年々、泥酔者は少なくなっているが、中には体調が悪くなる人や、自分の限度量を超えて泥酔し、トイレで動けなくなったり、嘔吐したりする人がいる。こうした泥酔者問題は、酒を飲むイベントとは切っても切れない関係にあり、永遠の宿命でもある。今回も、「昼の部」終了後と「午後の部」終了後に救急車を呼ぶ事態が発生した。「昼の部」は、終了後に会場を出たご夫婦の一人が酔って動けなくなり、会場側が救急車を呼んだものだが、しばらくして体調が戻り、タクシーで帰宅された。「午後の部」では、終了後、スタッフがトイレで倒れている若い女性を発見、かすかに意識はあるものの、歩けない状態だったので救急車を呼び病院へ搬送した。幸い、大事には至らなかったが、何かあった場合のことを考えると、主催者にとってのリスク管理は重要な問題である。翌日判明したのは、病院へ搬送された女性は、日頃から睡眠薬を常用しており、それがアルコールに反応して意識朦朧状態に陥ったのだという。睡眠薬常用者が日本酒イベントに参加するとは、主催者としては全くの想定外であった。今後は、そうした人達の参加は規制せざるを得ないが、自己申告が無ければわからないことであり、日本酒イベント主催者にとっては、悩ましい問題である。今後は、参加資格にきちんと明記する必要があると感じた。参加資格を無視して参加した人の事故についてまで、主催者の責任が問われることはないと思われるが、あらゆることを想定する必要があるのは確かである。

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                  日本酒の酒蔵が密集している都道府県と都市はどこか?

                  • 2012.03.14 Wednesday
                  • 18:26



                  全国に点在する日本酒の酒蔵の中で、実際に酒造りを行っている稼働酒蔵は、1,200蔵程度と推定されているが、フルネットの最新の調べでは、清酒の酒造免許を有する酒蔵は、1,644蔵あることになっている。この数字は、休業している酒蔵や他の酒蔵で製造した日本酒を自社銘柄で販売している酒蔵などを含んでおり、444蔵は酒造りをしていないのが現状だが、それらを含めた1,644蔵を基準にして、都道府県別と都市別の酒蔵密集度を調べるべく「酒蔵密度」を算出してみたところ、意外な結果が判明した。都道府県別の酒蔵密集度は、各都道府県の面積を基準にして100K屬量明僂紡減澆垢觴鯊⊃瑤髻都市別の酒蔵密集度は、各都市の面積を基準にして1K屬量明僂紡減澆垢觴鯊⊃瑤髻崋鯊¬度」として算出したところ、「酒蔵密度」の高い都道府県別ベスト10は、上のグラフと下に示す通りである。

                   1位:「福岡県」 0.126蔵
                   2位:「佐賀県」 0.122蔵
                   3位:「滋賀県」 0.119蔵
                   4位:「奈良県」 0.108蔵
                   5位:「京都府」 0.099蔵
                   6位:「兵庫県」 0.098蔵
                   7位:「福井県」 0.093蔵
                   8位:「埼玉県」 0.092蔵
                   9位:「石川県」 0.086蔵
                  10位:「愛媛県」 0.084蔵

                  これは全国で最も日本酒の「酒蔵密度」が高い都道府県は、兵庫県や新潟県ではなく、福岡県が最も酒蔵が密集していることを示すデータで、2位の佐賀県と合せて九州に「酒蔵密度」の高さ上位2県があることを示している。反対に、最も「酒蔵密度」が低いのは北海道で、福岡県の76分の1の低さになっている。

                  都市別ベスト10は、以下の通りである。




                   1位 兵庫県「西宮市」  0.130蔵
                   2位 福岡県「久留米市」0.069蔵
                   3位 京都府「京都市」  0.030蔵
                   4位 岡山県「倉敷市」  0.028蔵
                   5位 兵庫県「神戸市」  0.027蔵
                   6位 長野県「佐久市」  0.025蔵
                   7位 滋賀県「甲賀市」  0.020蔵
                   7位 新潟県「新潟市」  0.020蔵
                   9位 新潟県「長岡市」  0.019蔵
                  10位 広島県「東広島市」0.017蔵

                  都市別で、兵庫県「西宮市」が1位なのは妥当な順位だが、福岡県「久留米市」が2位にランクされているのは意外な結果である。京都府「京都市」が3位なのも妥当な位置と言える。これは、兵庫県「西宮市」が全国の都市の中で最も「酒蔵密度」が高く、7.6K屬飽譴弔亮鯊△あるという密集度を示し、2位の福岡県「久留米市」は、14.3K屬飽譴弔亮鯊△あるという密集度を示している。この結果から判明したのは、西日本の都道府県及び都市は「酒蔵密度」が高く、東日本の都道府県及び都市は「酒蔵密度」が低い傾向にあることで、日本の「酒蔵密度」は、西高東低になっていることがわかる。

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                    微濾過の日本酒

                    • 2012.03.10 Saturday
                    • 15:21


                    新潟県の酒蔵が、微濾過酒という日本酒を発売している。微濾過酒とは、文字通り「少しだけ濾過した酒」という意味だが、裏ラベルには「微濾過酒のわけ」として「このお酒は自然な味、風味を楽しめるよう繊細に濾過しています。濾過し過ぎると色は透明に近づくが味も一緒に抜けてしまう。濾過された成分にはさまざまな旨味や風味など豊かな成分が残っています。微濾過ゆえの繊細でふくよかな味をお楽しみください。」と書いてある。濾過し過ぎた酒は、旨味も無くなってしまうことを示唆する内容の説明文だが、消費者がこれを読めば、“ならば、いっそのこと濾過しない方がよいではないか”と思う筈である。似たような言葉に綿などを通して濾過する素濾過という表現もあるが、微濾過と表示するなら、その濾過方法を説明すべきである。「繊細に濾過した」という表現では、意味不明であり説明不足である。逆に解釈すれば、微濾過酒ではない通常の濾過酒は「繊細な濾過をしていない」と言っているのと同じで、過度な濾過をしていることを暗示している。消費者にとっては、濾過をしていない無濾過酒以外は、微濾過であっても過度な濾過であっても、受取り方は変らない。高度な酒造り技術が確立した現代では、搾った酒を濾過する必要は無いと言っても過言ではない。微濾過という言葉は、新鮮な表現だが、日本酒をわかりにくくするだけであり、あまりいい表現ではない。
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