杜氏を雇って酒造りを任せることを"外部委託"だと書く新聞記者の不見識

  • 2011.11.27 Sunday
  • 06:59


2011年9月14日発行の日本経済新聞に掲載されている「200年企業〜成長と持続の条件」というコラムに、静岡県のある酒造会社が取り上げられ記事として掲載されていた。サブ見出しは、「元金融マン、酒質を追及」とあり「酒造会社、内製化を徹底」と書かれていた。内容は、18世紀半ばに創業した酒造会社が、ここまで成長し、酒蔵の経営を持続させてきた経緯を、コラムの書き手である日本経済新聞の編集委員が、いくつかの角度から考察したもので、次の三つをその条件として挙げている。一つは、酒造会社が「杜氏を雇って酒造りを任せるという常識を打ち破り蔵元の長男で実質的に経営を担う専務が杜氏を務め、酒造りの作業をすべて内製化したこと」、もう一つは、現社長が「高度経済成長期に、売上の90%を占めていた桶売りを一切やめ、自前の銘柄で勝負する道を選んだこと」、三つ目には「酒質を上げるべく追及したこと」だと書いている。編集委員の見る目と指摘は、あたっているが、記事は、日本経済新聞の読者を意識した内容になっており、取材した酒造会社専務の真意を歪曲した形で書かれている。それは、上記三つの条件のうち、一つ目を特に強調し、事実とは異なる表現をしている。記事は、杜氏を雇わないことを"常識破り"と表現し、"内製化"という言葉を使っているが、"常識破り"という見方は偏見であり、"内製化"という表現は実態を誤認している。さらに、編集委員がこの記事で最も表現したいことを、酒造会社専務の発言として、「酒造りの工程は、蔵元にとって競争力の源。外部委託するなんて、おかしい」と書いている。蔵元が、杜氏を雇って酒造りを任せることを"外部委託"だと決めつけるのは、明らかに間違った表現であり、事実誤認である。"外部委託"とは、酒造りそのものを他者に外注することであり、読者に誤解を招かせる表現である。この記事を書いた編集委員は、酒蔵の成長と持続の条件は、「杜氏制度を否定し、酒造りの作業をすべて内製化すること」だと結論づけている。取材を受けた酒造会社の専務は、"外部委託"などという言葉は使っていないはずで、編集委員は、コラムのテーマに見合った記事内容にすべく都合のいいように発言者の真意をねじ曲げている。検事が、自分の見立てに合うように、調書を書き換えるのと似たような、ひどい話しである。得てして、マスコミの取材を受けた場合は、こうした結果になることが多い。防止策は、事前に原稿を見せてもらうことを条件にするしかない。記者がそれを嫌がれば、取材を断ればいいだけである。今回の記事は、編集委員にうまく利用されただけで、酒造会社は被害者である。
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