どうなる全国新酒鑑評会、どうする全国新酒鑑評会

  • 2011.11.26 Saturday
  • 18:32


明治44年から開催されてきた全国新酒鑑評会は、来年100回目の開催を迎える。この間、戦時中の昭和20年と醸造試験場(現酒類総合研究所)が東京から広島へ移転した平成7年の2回は開催が中止されているが、今年5月で99回目の開催を終えた。全国新酒鑑評会は、毎年春にその酒造年度の新酒を対象に審査が行われてきたが、第1回開催の明治44年から昭和30年迄の第44回開催までは、結果が公表されておらず、主催者にも資料が残っていないため、この間の受賞データ等は、世に現存していない。主催者がようやく結果を公表するようになったのは、昭和31年の第45回開催からで、今年の第99回開催まで、審査結果を公表してきたが、例外として昭和39年と昭和40年の2回だけは、出品記録は残っているものの、審査結果は公表されていない。従って、99回開催された全国新酒鑑評会のうち結果が公表されたのは53回だけで、あとの46回については結果不明となっている。つまり、全体の半分強しか分からないのが現状である。来年、100回目の開催を迎えるに当って、主催者の酒類総合研究所は、過去に遡って成績優秀な酒蔵を特別表彰するという噂が伝わってきている。しかし、審査結果が半分近く無い状況の中で、どのようなデータを根拠に成績優秀蔵をリストアップするのか、疑問が残る。公開されている53回の受賞結果を根拠にするなら、単独蔵として33回の金賞受賞記録を持つ宮城県の「浦霞」(株式会社佐浦)や同30回受賞の高知県「土佐鶴」(土佐鶴酒造株式会社)、長野県の「真澄」(宮坂醸造株式会社)、同29回受賞の愛媛県「梅錦」(梅錦山川株式会社)、青森県の「鳩正宗」(鳩正宗株式会社)、新潟県の「吉乃川」(吉乃川株式会社)が表彰対象になると予想されるが、なんとなく大手酒造メーカーの影が見え隠れする気配も感じられる。例年、この時期になると、酒類総合研究所から「酒類総合研究所報告」という冊子が送られてくるが、先日、その183号として平成23年8月発行のA4サイズ181頁の報告書が届いた。毎号、その中に、前年度開催の「全国新酒鑑評会」出品酒分析結果を詳細に掲載しているが、そうした分析結果の中で注目すべきデータがいくつか含まれている。最も注目すべき傾向は、出品酒全体の日本酒度が年々低くなってきていることで、不景気になれば、「酒は甘くなる」ということわざを如実に表わしている。掲載されている「出品酒の成分の推移」の中の「日本酒度」の項目を見ると、昭和60年頃から下がり始め、同年の日本酒度平均値5.5が、平成13年には4.0に下がり、以後も徐々に下がり続け、昨年は3.2まで下がっている。今年は、3.0くらいに下がった可能性もあるが、この20年間、全国新酒鑑評会出品酒は確実に甘口化していることが読み取れる。反対に、吟醸香のもとになるカプロン酸エチルの含有量は年々高くなり、昨年は7.7PPMという過去最高値を記録している。これは、協会1801号酵母や明利酵母などに代表されるセルレニン耐性酵母(高香気精製酵母)の使用率が高くなったことに起因しており、昨今の金賞受賞酒のほとんどが、カプロン酸エチルによる人口的付香のごとき吟醸香を放っている。平成2年頃には、使用酵母の80%近くが協会9号だったのが、昨年はその使用率が1.2%しかないことから、いかに高香気精製酵母の使用率が高いかを物語っている。セルレニン耐性酵母は、カプロン酸エチルを高精製すると同時に苦みの成分ともなるカプロン酸も同時に精製するため、そうした酵母を使用した出品酒は、喉を通して飲んでみると、苦く感じるものが多い。製造関係者は、そうした苦みをマスキングするためにグルコース値を高めにすることが、日本酒度が下がっていく傾向と相関関係にあると思われる。全国新酒鑑評会の出品酒がこうした傾向の酒ばかりになり、消費者や流通関係者から敬遠されるようになっては、本末転倒であり、開催する意味はない。主催者が開催目的として掲げている「鑑評会は、清酒の品質向上に資すると共に、国民の清酒に対する意識を高めること」とは、相反しており、もはや、全国新酒鑑評会の開催目的は過去のものとなっている。全国新酒鑑評会がこのまま、セルレニン耐性酵母多用による消費者が求めていないカプロン酸エチル系吟醸香の高いものを評価するのであれば、開催目的を「製造技術者の励みのため」などのように変えるべきであり、本気で「清酒の品質向上と国民の清酒に対する意識を高めること」を目的とするのなら、セルレニン耐性酵母を使用禁止にするなどして、消費者目線を意識した鑑評会の運営方法に改めるべきである。それが出来ないのなら、全国新酒鑑評会は、来年の100回開催を最後に有終の美を飾った方が良いとする考え方もある。いずれにしろ、現行の全国新酒鑑評会は、時代のニーズに応えていない。100回を迎えるに当って、改革が必要である。



  • 0
    • -
    • -
    • -
    • -

    calendar

    S M T W T F S
      12345
    6789101112
    13141516171819
    20212223242526
    2728293031  
    << May 2018 >>

    selected entries

    archives

    links

    profile

    search this site.

    others

    mobile

    qrcode

    powered

    無料ブログ作成サービス JUGEM