酒蔵のタンクにアートを見る!

  • 2015.08.15 Saturday
  • 09:45



2015年8月12日(水)に訪問した岐阜県各務原市で日本酒「百十郎」や「榮一」を醸造している株式会社 林本店の酒蔵で珍しいものを目にした。それは、一本の琺瑯タンクの表面に描かれたの演目「猩々」の舞い姿で、同社の林 里榮子社長は、「私が生れる前からいつまでも色あせず、酒蔵を見守っていてくれます・・・」と語っている。通常は、暗い酒蔵の中にあり、青か緑色の無機質なタンクの表面がアートになっているのに驚かされ、思わずアイフォンのシャッターを押してしまった。これまでの酒蔵巡りの中で、タンクに文字や模様などを描いたものは見たことがあるが、これほど見事なアートを見たのは始めてである。そこで、この絵が描かれた背景を調べてみたところ、「酒」と関係があり、「酒蔵の商売繁盛」を祈願したものであることが判明した。猩々(しょうじょう)とは、古典書物に記された架空の動物で、の演目である「猩々」は、真っ赤な能装束で飾った猩々が、に浮かれながら舞い謡うもので、シンプルな内容のストーリーを追いかけることから、祝賀、慶賀の雰囲気を現すことが主眼とされ、そのあらすじは以下のとおりである。「昔、揚子江の傍らにある金山に、親孝行者の高風という男が住んでいた。高風は、市場で酒を売れば多くの富を得るだろうという、神妙な夢を見てお告げに従い市場で酒を売り始める。酒売りは順調に進んだが、毎日、高風の店に買いに来る客の中に、いくら飲んでも顔色が変わらず、酒に酔う様子がない者がいたという。不思議に思った高風が名前を尋ねると、自分は猩々と言う海中に住む者だと答えて立ち去った。そこで高風は、美しい月夜の晩、川辺で酒を用意し猩々を待っていると、水中の波間より猩々が現れ、共に酒を酌み交わし、を踊り、やがて猩々は、高風のを褒め、のように尽きる事がない酒壷を与えて帰っていく」というもので、装束は、足袋以外はことごとく赤色で、頭については赤毛のみの頭を使うとされ、面は、顔に赤い彩色をほどこし、目元と口元に笑みをうかべた猩々という専用の面が使用されるという。まさに、タンクに描かれているのは、高風と猩々が相舞している場面で、最前面には、猩々が高風に贈ったとされる酒壷が描かれている。この場面を酒蔵のタンクに描いた人は、の演目「猩々」にあやかり、「お酒の商売が富み栄える」=「商売繁盛」を祈願したものと思われる。それにしても、酒蔵のタンクに「猩々」の舞い姿を描くとは、素晴らしい発想とセンスである。タンクの右下には「昭和27年9月、小泉光雲筆」と記されていることから、63年前に描かれたものである。ネットで検索しても、小泉光雲なる人物はヒットしないが、構図の見事さや格調高く繊細なタッチから見て、相当な力量の絵師だったと思われる。酒壷の下の部分にタンクの呑み口が重なっているのも心憎い描き方である。酒蔵にとっては、貴重な美術品でありお宝でもある。林社長によれば、このタンクで実際に酒を仕込んだことがないそうで、訪問した際には、「いつか、このタンクで仕込んでみたいです・・・」と語っておられた。近い将来、この絵をラベルにした「猩々タンク仕込み」の日本酒が発売されるかも知れない・・・。

■「猩々」タンクがある酒蔵
株式会社  林本店  〒504-0958 岐阜県各務原市那加新加納町2239 TEL.058-382-1238/FAX.058-383-3315

http://www.eiichi.co.jp/
 

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