「獺祭」の旭酒造と富士通が連携して山田錦の生産量拡大を目指し栽培技術の見える化を開始

  • 2014.09.09 Tuesday
  • 16:39


山口県で代表銘柄「獺祭」を醸造している旭酒造株式会社と富士通株式会社は、8月4日、報道陣向けの記者会見を行い、原料となる酒造好適米「山田錦」の生産量不足に対応するため、インターネット経由でデータを運用する食・農クラウド「Akisai(アキサイ:秋彩)」を活用した取組みを開始したと発表した。この取組みは、両社と農家が連携して山田錦の製造ノウハウを蓄積することにより、そこで得た知見を全国の農家に提供し、山田錦の生産量拡大を目指すものである。クラウドとは、データを自分のパソコンや携帯端末などではなく、インターネット上に保存する使い方やサービスのことで、自宅、会社、外出先など、さまざまな環境のパソコンや携帯端末からでもデータを閲覧、編集、アップロードすることができる概念を指しており、生産分野では、作業や収穫、出荷等の計画と実績の集計・分析などをサポートする。食・農クラウド「Akisai」は、経営・生産・品質の見える化とともに\源裟向上(単位面積当たり収量アップ)高品質/ブランド化(販売数量・単価アップ)9蘯益ポートフォリオ作成(収益率アップ)た卦就農人材早期育成(規模拡大)等の収益改善に貢献するという。現在、山田錦は兵庫県で最も多く生産されており、国内の生産量の8割を占めている。次いで、福岡県、岡山県、徳島県、佐賀県の順に生産量が多く東北地方の南側から九州地方まで全国30府県で生産されている。旭酒造は、山田錦の栽培における作業実績と生産コストの見える化を目的とし、今年4月から山口県内の2生産者に「農業生産管理クラウドサービス(SaaS)」と「マルチセンシングネットワーク」を導入、現在は、「栽培実績情報の収集・蓄積」と「環境情報の収集」を行っている段階で、今後は、収集したデータを活用・共有し、「生産量増加と新規生産者でも安定した栽培・収穫の実現」を目指している。農業生産管理SaaSでは、「いつ、どの圃場で、どのような作業を行ったか」という日々の作業実績や、使用した農薬、肥料、資材、草丈、茎数など稲の生育状況、収穫時の収穫量や品質等をパソコンやスマートフォン、タブレットなどに記録することで、栽培技術の見える化を支援、マルチセンシングネットワークでは、圃場に設置したセンサーを使用して、気温、湿度、土壌温度、土壌水分、電気伝導度を1時間ごとに自動で収集し記録するほか、毎日正午に定点カメラにより稲の生育の様子を撮影することで環境情報の収集を行う。記録されたデータは、富士通が管理するサーバー上で保管され、同社による収集や分析が行われた後、生産上のノウハウや栽培暦として農家に還元する。両社は今秋の収穫後、栽培成績の良かった作業実績を参考にした手引きを作成、生産コストも作業実績から算出し今後の栽培に生かすという。現在、全国の山田錦の年間生産量は約33万俵程度で、農家の高齢化や担い手不足のほか、栽培が難しいため新規生産者が増えにくいという課題があり、旭酒造も年間8万俵の山田錦を必要としているが、前期はその半分の4万俵の調達にとどまっている。旭酒造によれば、農家側には、「農業技術の将来への不安や酒蔵による購入への不安により、生産の存続や新規参入に踏み込めないでいる」現状があるといい、同社は、この状況を改善すべく、「Akisai」を導入、「山田錦の生産量や農家が少ない現状を打破し、長期的に安定した山田錦の調達を実現したい」と願っている。これにより、「栽培ノウハウの共有」と「契約生産者の経営安定化」、「新規農家の増加」、「地域特化型の山田錦栽培暦の質向上」を支援し、「将来は、日本全体で現在の2倍に近い60万俵の山田錦生産を実現したい」という。この取組みは、これまでアナログ的な栽培方法を続けてきた米造りをデータに基づきデジタル化しようとする試みであり、安倍政権が掲げる農業の6次産業化を後押ししている。
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