日本酒に含まれる「カルバミン酸エチル」含有量の規制値について

  • 2013.09.12 Thursday
  • 15:35



日本酒の中に発がん性が指摘される物質「カルバミン酸エチル」が含まれていることは、古くから、研究者や一部の業界関係者の間では広く知られているが、愛酒家を含む一般消費者には、ほとんど知られていない。
しかし、その含有量が極めて微量であることから、「カルバミン酸エチル」問題が出版物等で紹介されたり、マスコミ等で報道されることは少なく、業界人でも、「カルバミン酸エチル」問題を指摘する人はほとんどいないが、消費者としては知っておくべき、重要な問題である。
「カルバミン酸エチル」は、酒類を含む発酵食品に天然に存在する物質で、日本酒だけではなく、ほぼ全ての酒類に含まれているが、その中で、最も多く含まれているのが日本酒であり、その精製過程は、「高精米歩合の米で仕込んだ醪の醗酵温度が高い場合に、尿素とエチルアルコールが反応して造り出され、火入れで急増する」とされている。
日本で「カルバミン酸エチル」が注目されたのは、今から27年前、1986年にカナダへ輸出された日本酒に同国の規制基準値以上の「カルバミン酸がエチル」が含まれていたことが判明、荷物は陸揚げされず日本へ差し戻されたことから、大問題に発展した経緯がある。その当時から、カナダでは、清酒の「カルバミン酸エチル」含有量の規制値が決められていたが、日本では、現在も、そのような規制値は決められていない。

そうした中、平成19年に、国際がん研究機関(IARC)が「カルバミン酸エチル」の分類を、「人に対して発がん性の可能性がある」とするグループ2Bから、「人に対しておそらく発がん性がある」とするグループ2Aに変更している。つまり、「可能性がある」から「おそらくある」に危険性のランクを格上げしている。因みに、グループ2Aには、「アクリルアミド」、「クレオソート」、「ディゼールエンジンの排気ガス」、グループ2Bには、「漬物」、「わらび」、「ガソリン」等が挙げられ、最高ランクのグループ1には「たばこ」、「コルタール」、「アスベスト」等が指摘されている。この分類から、日本酒に含まれる「カルバミン酸エチル」による発がん性の危険度は、「漬物」より高く、「たばこ」より低いことがわかるが、日本では含有量の規制基準値が決められていないので、消費者としては不安である。

日本では、国税庁が同庁のホームページに「酒類中のカルバミン酸エチルについて」と題して、「国際がん研究機関の食品成分等に関する国際規格を定めているコーデックス委員会等で近年、酒類、特に核果を原料とした蒸留酒中のカルバミン酸エチルについて議論されています。コーデックス委員会においては、規制値を定めるとの結論には至っておらず、我が国においても食品衛生法上の規制値はありませんが、酒類の安全性を所管する国税庁として、実態の調査等対応しているところです」と、国税庁の取組みや施策を公表している。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/senmonjoho/sake/anzen/joho/joho01.htm

カナダでの陸揚げ拒否事件以来、国内では、酒類総合研究所を中心に、「カルバミン酸エチル」含有量の低減方法について研究が進められ、
 崘∩琶解酵素を添加して尿素を分解する」
◆崘∩任鮴言しない尿素非生産性酵母を使用する」
「火入れ後、急冷すると共に低温貯蔵する」
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などの方法が取り入れられている。

カナダにおける清酒の「カルバミン酸エチル」含有量「1リットル当り200マイクログラム」という規制値は、日本酒1キロリットル中に「カルバミン酸エチル」の含有量が0.2グラムと同じで、これを、日本酒1.8リットルに換算すると、「カルバミン酸エチル」含有量の規制値は、0.00036グラムという超微量の数値である。国税庁が平成22年に実施した清酒の「カルバミン酸エチル」含有量の調査では、対象89点の調査結果として平均値は、1リットル当り50マイクログラムだったと発表している。
これは、カナダの規制値の4分の1に当る低い数値だが、調査対象がどんな酒だったかについては明らかにされていないので、信憑性の低い調査結果だと言わざるを得ない。精米歩合の高低や製造方法によって、含有量は、大きく変ると推定されるからである。実際には、国内市場に流通する日本酒は、「カルバミン酸エチル」の含有量が測定されていないので、カナダの規制値を超えるものが存在する可能性は否定できない。

現時点で、消費者が「カルバミン酸エチル」の摂取量を自己規制するには、「カルバミン酸エチル」の含有量が少ないとされる日本酒を飲むことしか方法はない。それは、
 崢秬妻栃盥腓慮粁訴討鮖藩僂靴深髻
◆峅估れ後、急冷した酒」
「火入れをしていない生酒」
ぁ崢祺甲蔵している酒」
ァ崘∩任鮴言しない尿素非生産性酵母を使用した酒」
を選択することである。

食の安全が叫ばれている今日、カナダに規制値があって、日本酒生産国の日本に規制値が無く、野放し状態なのは、国内外の消費者に対して安心を与えているとは言えない。日本政府は、日本酒を國酒として世界に広めようとするのなら、国際がん研究機関の警告を尊重し、食品衛生法等で「カルバミン酸エチル」の規制基準値を決め、世界の人々が安心して日本酒を飲めるよう、配慮すべきである。

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