原酒に加水しても「原酒」と認める酒税法の悪しき例外規定

  • 2013.06.16 Sunday
  • 09:31


日本酒の世界で、一般的には「原酒」とは、「醪を搾ったあと一切加水していないもの」と認識している人がほとんどだと思われるが、現行の酒税法では、「少量の加水をしても原酒と表示してもよい」と認められている。酒税法に、「清酒の製法品質表示基準」が制定されたのは25年前の平成元年11月で、平成2年4月から適用されているが、その「任意記載事項の表示」の(4)に、「原酒」の定義について、「原酒の用語は、製成後、加水調整(アルコール分1%未満の範囲内の加水調整を除く。)をしない清酒である場合に表示できるものとする」と記されているからである。その後、平成15年10月に「清酒の製法品質表示基準」の一部が改正され、平成16年1月から適用されているが、「任意記載事項の表示」の(4)に明記されている原酒の定義は、「製成後、水を加えてアルコール分などを調整しない清酒に表示できます。なお、仕込みごとに若干異なるアルコール分を調整するため、アルコール分1%未満の範囲内で加水調整することは、差し支えないことになっています。」と微妙に表現が変わっているが、アルコール分1%未満の範囲内で加水調整することを認めていることに変わりはない。したがって、例えば、醪を搾った後のアルコール分17.0度の原酒に加水して16.1度まで下げても、また、搾った後にアルコール分16.5度の原酒に加水して15.6度まで下げても、その酒は「原酒」と表示できるのである。日本酒の世界において、アルコール分が僅か1%未満の範囲内で違っても、その味わいは大きく変わることが明白であり、法律でそうした例外規定を認めるのは理不尽であり、消費者を欺く「うそ表示」である。「純米酒に少量の醸造アルコールを添加しても純米酒と認めない」のに、「原酒に少量加水しても原酒と認める」というのは、理不尽且つ身勝手な法律である。かつて、国税庁に問い合せたところ、「毎年、酒蔵から出荷する商品のアルコール度数を均一化するため」という説明を受けたが、そのために加水したものを原酒と認める必要がどこにあるのか。考えられるのは、かつてのアルコール分の違いによる酒税額の違いを調整する名残りと思われる。多くの酒蔵は、加水したものを原酒と表示していないと思われるが、こうした例外規定がある以上、疑われても仕方がない。実際には、「加水した原酒」と「加水していない原酒」の2種類が市場に流通しているのは紛れもない事実であり、市場に流通しているアルコール分16度台の原酒は、加水されている可能性が高い。最近は、奈良県の「風の森」や愛知県の「醸し人九平次」などのように、「原酒」という表示ではなく「無加水」という表示をする酒蔵が増えてきているが、消費者にとっては、この表現の方がわかりやすく信頼感がある。「無加水イコール原酒」は正解だが、「原酒イコール無加水」ではない。「無加水」の定義は、あくまで無加水であり、加水したものを「無加水」とは言わない。酒税法で、「加水しても原酒」と認めるのであれば、消費者にわかりやすいという観点から、加水した原酒は「原酒」と表示し、加水していない原酒は「無加水」と表示した方が良心的である。それよりも、こうした例外規定は一刻も早く廃止すべきである。(画像と本文は関係ありません)
 
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