今年の全国新酒鑑評会

  • 2012.05.26 Saturday
  • 14:29



2012年5月22日(火)午後10時発の夜行寝台列車「サンライズ号」に乗り、日帰りに近い強行スケジュールで通算100回開催記念の平成23酒造年度「全国新酒鑑評会」に行って来た。この時期の広島詣では、17年連続である。初めて寝台列車に乗ってみたが、なかなか快適な旅が出来た。「サンライズ号」の個室は何種類かあるが、今回、利用したのは「シングルツイン」という、二段ベットになっている個室で二人使用も出来るが、贅沢にも、一人で使用した。列車は、東京駅を出たあと、翌朝6時40分頃に岡山駅に到着、そこから新幹線に乗り換えると、8時前に東広島駅に到着する。無駄の無いドンピシャな時間に着く、利用価値ある「サンライズ号」であった。


そこからタクシーに乗ると、8時過ぎには、会場の東広島運動公園体育館に到着する。五月晴れの5月23日(水)朝、例年のように会場入口前には列が出来ているが、今年はいつもの年より多くの人が並んでいた。この日開催される「製造技術研究会」は、10時から開催されるが、しばらく、列の光景や会場の外周りを撮影した後、8時半過ぎにマスコミ受付で記帳をして、会場の体育館内に入ると、地区別に分けたテーブルに今年の出品酒876点が並べられている。今年は、その中から半分弱の428点が入賞酒として選ばれ、更に、その中から247点が金賞酒として選ばれている。今年の最大の注目点は、京都の齋藤酒造株式会社が出品した「英勲」が15年連続金賞受賞の日本新記録達成成るか否かだったが、惜しくも、金賞を逃し入賞止まりに終り、日本新記録更新は成らなかった。14年連続金賞受賞を続けたのに、100回記念の全国新酒鑑評会で記録が途切れるとは皮肉なもので、なんとも非常な世界である。今年の金賞受賞の傾向は、例年よりグルコース値高めの甘く感じるものが多く、香りは例年より低めのものが多かったようである。247点もある金賞酒の出来栄えには、上位のものと推定される金賞酒と下位と推定される金賞賞とでは、かなりの差を感じたが、例年通り、味わいの濃淡が極端ではなく、五味のバランスがとれ、旨みがあるものが選ばれていた。金賞を外した出品酒は、甘過ぎたり、薄過ぎたりするものが多く、膨らみとバランスに欠けたものが多かった。主催者の発表では、吟醸香の元となる、カブロン酸エチル香気の全出品酒の平均値は、6.7PPMで、一昨年をピークに減少傾向にあるが、中には、強烈な吟醸香を漂わせたものもあり、協会1801酵母等の高香気精製酵母の使用率はますます上昇しているように感じられた。但し、全体的に、造りの段階で、香りが穏やかになるよう工夫されたものが多く、出品酒製造技術は確実に進歩していると思われる。味わい的には、今年も、高香気精製酵母使用による前駆物質「カプロン酸」含有の影響により、苦みを感じるものが多く、おいしさという点では、疑問符がつくものが目立っていたように感じた。以前から指摘されているが、出品酒は金賞を取ることを目的に造られ、吐いて審査する際の人間の官能に最大限アピールするよう造られているので、飲んで旨いかどうかは問われない酒であることから、消費者ニーズに合わない酒になっている。出品酒造りは、質の良い吟醸香の創出と欠点の無い日本酒造りの競争という側面を持っており、その為には、日本酒の最大の特性である「おいしさ」を犠牲にすることも有り得るのである。従って、「おいしさ」に関しては、高品質な出品酒に及ばないこともあり、このあたりが鑑評会の課題でもあり問題点でもある。今のようなコンテストの為にコストを無視して特別に造った出品酒を審査するのではなく、コスト計算した通常の造り方をした市販酒を審査するように改める必要がある。しかし、「賞」欲しさの不正が横行する可能性が高く、実現は難しいと思うが、発覚した場合の罰則を強化すれば不可能ではない。次代が求めているのは、「全国新酒鑑評会」ではなく「全国市販酒鑑評会」である。

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