小学生に「日本酒検定」の資格を与えることの是非

  • 2012.02.05 Sunday
  • 12:33
2012年2月2日(木)発行の朝日新聞朝刊社会面の「ニュース圏外」という特集欄に「小学生でも日本酒検定?」、「年齢制限めぐり論争」と題した署名入り記事が掲載されている。内容は、昨年、SSI(日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会)が主催し認定する「日本酒検定」の4級に東京都杉並区の小学4年生の女の子が合格したことを紹介したもので、その後、ネットの掲示板に「受験資格に年齢制限を設けないのはおかしい」という書き込みが相次ぎ、業界関係者の間でも賛否両論の声が湧いたことを取り上げ、小学生でも「日本酒検定」の資格を取れることを問題視すると共に受験資格に年齢制限が設けられていないことに対する業界関係者及び識者の賛否両論と日本酒造組合中央会のコメントを紹介している。記事は、賛成派の意見として、SSI事務局長の「消費の低迷が続く業界を立て直すため」と「若年層へ訴求力ある対策は不可欠だ」、「早くから酒の魅力を知ってもらい未来のファンを育てたいとの思惑から未成年者に資格を与えることにした」とのコメントを紹介している。しかし、これはあまりにも身勝手且つ行き過ぎた考え方であり、未成年者の飲酒誘発につながる可能性を無視した暴論である。反対派の一人として昨年末に記者から取材を受けた私の意見「絶対運転しないからとせがむ子どもに免許を発行するだろうか。知識や技術が身につけば試したくなる。昨今の子役ブームに便乗する話題作りは公序良俗違反」も紹介、更に、国立病院機構関係者の反対意見「アルコールに興味を持たせる宣伝広告で最も効果が高いのは未成年層だ」、「口に含まなくても未成年者の受験は反対だ」も紹介している。日本酒造組合中央会のコメント「CMなどのモデルには子どもを絶対使わない」、「子どもが興味をひきそうなキャラクターやタレントの起用も固く禁じている」と酒の広告宣伝に厳しい自主基準を設けていることを紹介している。争点は、「受験資格に年齢制限が無いことが未成年者の飲酒を誘発する可能性があるか否か」だが、未成年者の飲酒に厳しい欧米人に比べて、日本人は、未成年者の飲酒防止に対する考え方が甘いようである。ましてや、小学生に「日本酒検定」の資格を与えること事態が、未成年者の飲酒を誘発する危険性を認識しておらず、日本酒の消費低迷が続く業界立て直しのためだと問題をすり替えている。この報道に対してSSIが敏感に反応、記事掲載翌日の2月3日には公式ホームページに「未成年者の受検受付停止および受検資格是正検討について」という方針転換を表明している。SSIは、「日本酒検定」実施にあたって受検資格に年齢制限を設けなかった理由を、「日本酒検定が単に日本酒の知識を問うだけのものでは無く、一般消費者に飲酒のルールやマナーはもちろんのこと、科学的に証明されている健康被害についても正しい知識を身に付けてもらいたいとの思いからでした」と釈明しているが、それは、成人に対するスタンスであり、未成年者をも対象に含めるのは行き過ぎである。また「日本酒検定に飲酒あるいは飲酒経験を必要とする問題は出題していません」とも釈明しているが、そうした問題を「出題しないから受験資格に年齢制限を設けなくてもいい」という解釈は、軽率な考え方であり世間に通用しない。SSIは、結論として「今回の報道及び関係者の意見を検討した結果、日本酒検定の受検資格に年齢制限を設けないことが、未成年者の飲酒を誘発することにつながる可能性を否定できないことを理由に、本検定の未成年者の受検受付を停止することにしました」と表明している。これは、新聞報道が無ければ方針転換しなかったことを認める釈明コメントである。一方で「これまでの未成年受験者の合格を取り消さない」と表明しているのは無責任である。未成年者の飲酒を誘発する可能性を否定しないのであれば、これまでの未成年受験者の合格も資格も取り消すべきではないか。未成年者を酒の世界から保護するのが大人の責任でもある。
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