トップが動かないと酒は売れない!

  • 2011.12.12 Monday
  • 13:36

  

先日、漫画家の高瀬さんが西荻窪の三ツ矢酒店で土曜午後に開催している勉強会の150回開催記念の懇親会に参加した。毎回20数名の日本酒愛好家を対象に三ツ矢酒店の2階を会場に、高瀬さんが講義するものだが、いつも、全国の蔵元さんがゲストとして参加している。たまたま、その記念の会のゲストが兵庫県「龍力」醸造元の本田会長であった。夕方5時から始まった懇親会で、本田会長は、二つの含蓄ある言葉を口にされた。一つは、「会社のトップが動かないと酒は売れない」という、インパクトある言葉である。確かに、今年80歳になる本田会長のフットワークは、年齢を感じさせないほど、軽やかである。そして元気且つ精力的に動き回る姿は脱帽ものである。何でも、視力に衰えは全くないそうで、近眼でも老眼でもなく、視力は裸眼で両眼とも1.2だという。80歳にしては、脅威的な視力であり、その話術にも説得力がある。私の会社の前に築地では有名な「宮川」という鰻料理の店がある。そこが、昔から龍力の本醸造を取扱っているという関係で、毎月、集金を兼ねて鰻を食べにくるのである。そして、時々、私の会社にふらっと顔を出し、世間話をして帰られる。会長曰く、「関西の鰻は嫌いや・・・、東京の鰻の方が好きや・・・」と屈託のない笑顔で語りかけてこられる。80歳にして、これほど元気で動き回る蔵元は、本田会長の他には知らない。恐らく、そんな蔵元はいないのかも知れない。その会長が自ら「トップが動かないと酒は売れない」というのは、余程の自信があるからであり、裏を返せば「トッブが動かない酒蔵がいかに多いか」を暗に指摘しているいるようなもので、「トップが動けば酒は売れる」と言っているのと同じである。例年、この時期になると、「手が痛い」と言って、腫れた手のひらを見てくれと言わんばかりに差出してこられるが、原因は、夜遅くまでの歳暮の発送作業で手が痛くなるのだという。老いてますます盛んな本田会長が、その日、発したもう一つの言葉は、「龍力」の最高級ランク酒「秋津」純米大吟醸の一升瓶を片手で持って参加者の生徒達にお酌して回ったときである。なんと、一人一人に、「飲んでいただけるとお米が喜びます」と声を掛けながらお酌して回ったのである。「お米が喜びます」とは、何たる思慮深い優しい言葉ではないか。私も初めて耳にした言葉だが、なかなか、口に出来ない言葉であり、それが本田会長の人柄を十二分に表わしている。そして、贅沢にも「秋津」の燗も勧められた。おいしかった事はいうまでもないが、酒を注いでくれる人の人柄によって、酒の味わいは変るものだと、改めて実感した。本田会長から、元気と若さをもらった一夜であった。

 

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